◆過去小事
2003.7

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「裏小事(占い付き)」


8月25日

大変ご迷惑をおかけしております!これから約3週間、全ての作業をお休みさせていただきます・・・。

今回は、タイ、ベトナム、ネパールと回ってきます。少し夏休みも頂いています。恐縮です!
夏休みを除けば、各国4日ずつくらいでしょうか。週の頭はどこかの国で仕事をし、終末はバンコクに戻っているというスケジュールになっています。空気は相変わらずですが、なぜかほっとするバンコクです。

留守にも関わらず、オーダー下さったお客様、ありがとうございます。
9月16日よりお会計メールの送付、同時に発送業務を開始いたします。
ご質問へのお返事もこの日以降から書き始めます。
とはいえ、各国のインターネットカフェから出来るだけメールは読むようにしていますので、何かありましたらいつものアドレスにメールを送って置いて下さいね!場所によって通信設備に差があるため、早々のお返事は出来ないかも知れませんが、なるべくマメにチェック出来るよう事前に環境を把握して移動するようにします。

8月23日前後に発送を完了したお客様で、返品をご希望の方は、大変申し訳ございませんが送らずにお待ち下さい。当方に受取手がおりませんので、お送りになられても荷物がお客様のお手元に戻ってしまいます。返品方法のメールが到着するまで、恐縮ですがお手元での保管をお願いいたします。
もーホントにすみません!!!早く立派になってスタッフを置けるようになります。ええなりますとも!

すでに25日の日付でコレを書きつつ、荷造り完了致しました現在23日。はやい、早すぎる段取り。段取りが大好きでございます。しかし、ここ2日ばかりいろんな事が気になって眠れません。そしてむやみやたらに掃除ばっかりしております。留守にすると思うと常々やろうやろうと思って先送りにしていた事が急に気になってきて仕方がない。一昨日は床にワックスかけました。これから窓を拭こう。
それでは皆さん、いないフリしてあと2日おりますので、何かございましたらご連絡下さい。

いってきま〜す。

8月15日

 京成船橋駅前の路面で、魚を売っていた夫婦をご存じの方、いらっしゃるだろうか。約95000人が利用する駅で数十年、ほとんど休まずそこに立って魚を売っていたので、なにげに有名人と思われるその人達。彼らは私の叔父夫婦です。乗り換えなどで利用されたりして、どこかで覚えてくれている方がいたら嬉しいなあ。その叔父は3年前に他界し、お盆真っ直中の今日、叔母の葬儀でした。最愛の夫を亡くした叔母は、失意の中でもリヤカーを引き、変わらず魚を売り続けていましたが、程なく腰痛から足が利かなくなり路上を引退。長男夫婦の家で暮らすことになり船橋を去りました。同時に叔父と過ごした小さな小さな家は取り壊され、そのまた小さな土地は雑草が生い茂る空き地となりました。うちに遊びに来た八重子ばちゃんは、それを見て泣きました。私は叔母のことを八重子ばちゃんと呼び、おじの事をお父ちゃん、と呼んでいます。3人姉弟のいとこ達が口々にお父ちゃんお父ちゃんと言ったせいか、物心付いたときから自分のおやじじゃないのに「お父ちゃん」。「八重子ばちゃん」こそおばちゃん種の呼称ではあるものの、ほとんど第二の「お母ちゃん」的存在でした。細い路地を入った私の家は八重子ばちゃんの家と向かい合っていて、育ち盛りの子供達は毎日各家々を飛び回ります。だからもちろん玄関は開けっ放し、夫婦喧嘩の声も丸聞こえ、晩のおかずと昨日の食器が行ったり来たり、プライバシーってなんだ?食い物か?ってなもんです。思えば親たちにとっても一番良い時季だったかも知れません。うちの父方の親戚はもれなく魚屋で、それぞれに小さな店を持っていましたが、八重子ばちゃん達は最後まで店を持ちませんでした。朝早くから魚の下処理を家の外に作った加工場でして、それをリヤカーにたんまり乗せて駅まで押していきます。たとえ店舗で営業していても始終手はひび割れ、慢性的な冷えを抱えるのが魚屋です。それが外売りとなったら、腰を掛けるところもなく、雨にも打たれ、それはそれは想像を絶する重労働です。それなのにこの人達は明るくて元気で、まあよく遊んでくれましたっけねえ。特に八重子ばちゃんは子供が喜ぶより先に自分が喜んじゃうキャラで、ノリノリな謎のイベントをよくしてくれたものです。ビニールプールを出して子供をつっこみ、七輪とフライパンでビーチサイドのお好み焼き大会だの、脈絡もなく土の上でスイカ割り大会だの、本の朗読会、歌合戦、お化けの話大会、なんでも大会です。そして最後は必ず八重子ばちゃんがそこらに放ったまま山になっている洗濯物から手ぬぐいを引っ張り出してほっかむり、風呂敷にまた洗濯物を押し込んで背負い、「あたしゃ雪国くすり売り〜♪」と歌い踊るのです。子供達はそれが大好きでヤンヤの大騒ぎでした。私の幸せな幼少期を、より豊かにしてくれたのはまさしくこの人。そして大人になってからは、とても仲の良い友達でした。私の異国での体験を大きな好奇心を持って聞き込んでくれ、大きな目をきょろきょろ動かします。きゃーきゃー言って、ゲラゲラ笑う。
 新しい生活は遠慮が高じてうまくいかず、結局女ばかりの気楽な次女の家に移りました。その後間もなくガンの宣告。前の年の異常なしだった定期検診が翌年の定期検診ではすでに末期です。誰もが狼狽し、あらゆる手を尽くすべく、話し合いました。こんな事になるとは思ってもいませんでしたが、丁度私がアマゾン茶の仕事をしていた事もあって、いとこ達とワリカンの購入計画を立て、良いペースで飲んでいけるよう準備をしました。しかし、それを泣いてありがたがってくれる割にはあんまり飲んで貰えない。サプリメントってなんか抵抗がある・・・そんな事言ってる場合じゃないでしょう?しかし大の大人の口をこじ開けるわけにもいかず、どうしたものかと手をこまねいているうちに、もう何を口に入れるのも億劫という状態になってしまいました。どんなに人が妙薬と言った所で、自分自身で模索し、手にした蜘蛛の糸でなければ、蜘蛛の糸足り得ないと言う真実です。では、彼女にとっての蜘蛛の糸はなんだったのか、それはなんとキリスト教だったのです。その発想は、心の救いであって肉体の救いではありません。生きて欲しいという子供達の気持ちとは裏腹に、彼女はどんどん旅支度を進めてしまいます。小さい頃もよく一人で日曜学校に行ったりしていたらしいのですよね。なんだか勝手に洗礼まで受けてたらしい。幼少の彼女にとっては、たぶん神様がどうのこうのって事よりも、それが心の癒しも含めて「生活の豊かさ」みたいな物へのイメージに繋がっていたのではないかなあと思っています。松本家は極貧だったらしいし、がさつですからね。八重子ばちゃんは、魚屋のおばちゃんっていう姿のイメージそのものの人で、そこからは想像に難いんだけど、すんごいロマンチストなのです。きっと子供の頃から賛美歌の響きや、聖書の中に鏤められた名言や、飾られた花々の美しさに甘い憧れを抱いたに違いないと思っています。同じ病室に牧師さんの奥さんがいらした事が決定的でした。その病室で闘病仲間と一緒に賛美歌を歌ったり、趣味のポエムを発表したりとその触れあいがとても楽しかったようです。そんな風に自然に傾倒していったのでしょう。まあ、その賑やかさたるや病室とは思えないほどだったそうですから。
 一昨日夜ですか、危篤の知らせを受けて病院へ駆けつけると、モルヒネで意識もなく、呼吸器に繋がれている八重子ばちゃんがいました。八重子ばちゃんの願いは、大好きな瀧先生に看取って貰うこと、お葬式は少ない人数で静かに教会ですること。そして口には出さないが、誰にも迷惑をかけないこと。お盆の真っ最中だから子供達も全員揃っていてわざわざお休みをとった人もいませんでした。その日の当直は瀧先生でした。八重子ばちゃんは、まるで先生が来てくれたのがわかったかのように心音を弱め、願い通りのかたちで、大好きな先生と愛する子供達に囲まれながら、超大好きなお父ちゃんのところへ行きました。
 お葬式も意向に添って教会で、静かに行いました。賛美歌を歌い、神父さんのお話を頂き、出棺、火葬。
 テディベアみたいにでぶちんだった体は痩せてしまってそれだけでもかわいそうだったのに、焼かれたらもっともっとホントにちっちゃくなっちゃって、その骨の少なさが、大変な闘病生活を語っているようでした。
 
 どこかの街角で、空気のようにそこに立ち、交わることはないが毎日顔を合わせる、そんな人達にもそんな人達なりの人生があって、ただのひとつも、どうだって良いような存在なんかないのだと、必ず誰かの大事な人であることを、想像して貰いたいと思うのです。あの京成船橋駅で、いつも魚を売っていたおじちゃんとおばちゃんは死にました。駅周辺は都市開発で生まれ変わり、八重子ばちゃんの立っていた場所ももうすぐなくなりそうです。「楽な人生じゃかったと思います。でも、3人も子供を一生懸命育ててくれて感謝しています」と息子の真ちゃんが泣きながら挨拶しました。
 そう、楽じゃないし、長生きも出来ないし、でもとっても幸せって人生、あるんです。そう言う風に、駅前の魚屋さんは生きました。
 思い出してくれる人がいたら、ありがとう。


 8月11日
 お盆ですなあ。見事に誰もいらっしゃらないご様子。サビシー
 誰もいないと知りながら、サマーバサールスタートしました〜。
 地味にスタートしました〜。600番台スタートしました〜。
 
 後10日ほどで買い付けに行きます。ですので、後は新着アップをぽろぽろと、バザールの方をちょこちょことアップしていきます。もともと在庫は少ないままかですので、お盆が開けたらどんどん売り切れしちゃうと思います。今こうやって私の日記を読んでいる方・・・お盆になんの予定も無かったあなた、今がチャンスです。ゆっくりお買い物して下さいね。秋冬に充実したラインナップを揃えるためにもすっきり在庫室にしたいものです。なんつったって狭いんだから〜。

 8月 5日
 どどーんと、すんごい雨が降ってきた。八百屋のふみおちゃんもキャッキャと大騒ぎ。

 うちの向かいは百均。その百均の前の道に毎日八百屋さんがやってくる。八百屋のふみおちゃん。なんで八百屋のおじさんの名前を知ってるかっていうと、子供の頃、柿泥棒をしたって話の中に「八百屋のふみおちゃんを捕まえた!」ってお坊さんのセリフがあったからだ。ふみおちゃんは悪ガキどもと一緒に盛り上がった勢いで柿泥棒をしたんだけど、散って逃げる際に馴れないから木の上に逃げちゃったんだって。捕まったのが八百屋の息子だったんで笑い話になっちゃうし、おやじにには怒られるし、オマケに盗んだ柿はとっても渋くて自分の家にある食べ放題の柿の方が全然うまくて「あれ以来盗みは懲りたねえ」と言っていた。野菜というのは毎日食べる物だから、ふみおちゃんには毎日会う。うちの目の前で営業してるから野菜を買わなくても会う。なんだか最近ではすっかり仲良しになって、出かけるときにいちいちふみおちゃんに片手を上げて挨拶していく。挨拶したからには帰りには必ず何かを買いに立ち寄る。ふみおちゃんの話はとりとめがないんだけど、そのとりとめのなさが面白い。「俺ねえ、いんげん仕入れるの好きなの。あと、トマトも好き。でもセロリ仕入れるのは嫌いなんだよね。だってわかんないのセロリって、セロリ〜なんだろ。八百屋さんにもそう言うのあるんだよ、変だよねえ。グレープフルーツにルビーが出た時もやだった。お客さんがこの前のグレープフルーツ腐ってたわよーって言ってきたんだよ。俺ショックでねえ。もういやんなっちゃったの。ルビーってどこが違うの?」「ルビーの方が良いって、なんか思いっきりテレビでやってたよ、何だったけなあ」「ああ、やっぱ違うの。なんか違うのかあ」私がルビーの方が好きだって言ったから?、いやいやみののお勧めだと知ったからでしょうが、その翌日からグレープフルーツはルビーになった。今日は雨が降りそうだったから傘を持って出かけた。私が出て行くところでふみおちゃんと目があったので、「雨降りそうですね〜」と挨拶すると「違いないね!」と男らしく断言していた。用事を済ませて帰りによると「雨降る前に帰ってきたね」とふみおちゃん。「あのさあ、俺、日傘と雨傘の見分けが付かないんだよねえ」「ああ、最近は両方に使えるのが出てるから余計だね」「えーそうなんだ、へえ。でもさあ、男で日傘さしてたら可笑しいよね」「う〜ん、どうかなあんまり見かけないけどね」「日傘してたらあれかなあ・・・ねえ、ヤクザで内股っているかな」「え?ヤクザ?」「そうそう、俺いろんな事考えちゃうんだよなあ。ヤクザでも、こっち(手の甲を頬に当て)の人はいるだろう?なぐり込みの時内股かなあって。ヤクザにもさあ、いるよねえ、こっち(手の甲を頬に当て)の人」「うん、何処の業界にもいるんじゃないかな」「そうだよねー!良かったなあ。いるよねえ、でも日傘は持たねえな」このどうでも良い話だけど、ちょっと宇宙な感じがとっても癒し系。ただいかんせん声がでかいので、会話が周囲に全部聞こえてしまい、皆さんから見れば私もこの宇宙を形成しているメンバーに見えてるはず。昨日なんか大家さんの彦ちゃんがそこを通りかかって、眉間にしわを寄せてた。
 バリバリ雨粒が落ちる音の合間にふみおちゃんのはしゃいだ声が聞こえてくる。「雨が降る!」で自分で断言したくせに、「ありゃ〜勘弁してくれよ〜!」って騒いでる。早く片付けに入れば良かったのに・・・気が気じゃないが、その辺はふみおちゃんの方がプロなのできっと秘策があったのだろう。だって産まれたときから八百屋なんだもんね。ふみおちゃんの宇宙な引き出しはまだまだたくさんありそうで、今後も楽しみ。

 8月 1日
 梅雨が明けないまま、8月に突入。もう残暑お見舞い申し上げますじゃないの〜。

 野菜不足にならないように、うちではよくけんちん汁をやる。ダーは晩御飯=晩酌の人なので、きっとボリューミーな汁物は鬱陶しいと思ってるに違いない。しかし構わず作っている。何しろ味噌は酔っぱらった体に良いのだ。一年中ダイエッターに、こんにゃく、きのこは強い見方。たっぷりえのきにしめじ。お豆腐、里芋、ゴボウ、にんじん、豚肉、それからねぎをメチャメチャ入れて、んで気分でその辺にある野菜をゲストに適当に作る。そりゃもう圧力鍋いっぱいいっぱいに出来上がって、2.3日は私の3食くらいこれで済んじゃう。丁度一昨日これを作った日に、ダーが仕事で帰って来られなくなった。自分のために他のおかずを作るのもめんどっちいので、そのまま軽く一杯食べて晩御飯を終わりにした。明日もコレを食べればいいので楽ちんだ。毎日家にいると、自分に何を食べさせるかさえ考えるのが億劫になりがち・・・。
 しかし奴は・・・翌日の午後には腐っていた。まだ一杯しか食べてないのに。
 「梅雨明け秒読み!」なんてニュースで言うくらい曇りながら気温も高くて、台所で鍋を見かける度にちょっとやばいかなっとは思っていたが、うちはお化けの影響かよそ様に比べてかなり涼しいし、だいいち鍋がでかすぎて冷蔵庫に入らないので、まあ、食べる前に火を入れれば・・・なんて思っていたら、遠くすえたにほい。鍋を開けると、一瞬気付かないほどだけど、と〜くですえたにほい。
ああ、我が家にも夏到来だ。毎年みそ汁腐らして夏確認。アイテム的には何でも食べる私だけど、実はとても鼻が良くて、食中毒やばげな物には酷く厳しい。「あうー残念〜、恨まないで〜野菜達〜」と心で合掌しながら大鍋を流しへ・・・。流れていく鍋の中から「いい匂い」が立ちのぼってくる。鍋を開けた時、確かにすえた匂いがしたし、なんどもスーハースーハーしたけど遠くにスッパマンがいた。でも、鍋をひっくり返すと全然解らなくなる。たぶん、メンバーの中の誰かが逝っちゃってるだけで、全体にはまだ腐ってないのだ。ほとんどんの具が「僕はまだ大丈夫なのに〜」と言いながら流しを転がっていく。ああ、もったいない、揺れる心・・・許せ、流しに出ていっちゃもう食えんのじゃ。こういう時にアフリカの飢餓とか思い出さなくて良いのに思い出したりする。アフリカが飢餓だからって怪しい物食べてお腹壊すわけにはいかないのにもかかわらずー!ごめんなさい、食べ物もっと大事にします・・・。
 野菜達の断末魔に胸が痛み、ショックショック。ああ、涼しくなるまでは作り置きをしないで凌いでいこうと心に強く誓った。
 これも毎年のような気がする、夏の誓い。



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